コラム


遊戯王OCGの黎明期において、「シークレットレア」という存在はごくわずかでした。
その中でも、今なお多くのファンに語り継がれているのが、《ホーリーナイトドラゴン》と《究極完全態グレートモス》です。
どちらも通常パックでは入手できない“特別な方法”でしか手に入らなかった初期シークレットであり、コレクターズアイテムとしての価値が年々増しています。
OCGとして初登場したのは、1999年に発売されたゲームボーイソフト「遊戯王デュエルモンスターズⅡ 闇界決闘記」。
このソフトに封入されていた特典パックから、ごく稀に出現したのがこの2枚――《ホーリーナイトドラゴン》《究極完全態グレートモス》でした。
この特典パックは全10種のうちランダムで3枚封入という形式で、当時の体感確率はおよそ5%前後といわれており、狙って当てるにはかなりの運が必要でした。
その影響もあり、発売当初からこの2枚は1万円超えの価格で取引されていたという記録も残っています。

美品であれば現在、どちらも70万円前後の相場がつくこともあります。
しかしながら、現存する個体の多くは状態がよくなく、10万円前後の個体が主流です。
この理由のひとつとして、《究極完全態グレートモス》が実戦カードとして当時のプレイヤーに頻繁に使われていたことが挙げられます。
特に有名なのが、「Booster4」に収録された《天使の施し》とのコンボ。手札から2枚捨てて3枚ドローする効果のコストとして《究極完全態グレートモス》を捨て、そこから《死者蘇生》で蘇らせるという、当時のルールでは成立した“凶悪な裏技”が存在していました。
このコンボは公式書籍「ヴァリュアブルブック1」でも紹介されており、多くのプレイヤーがデッキに投入していたことで、状態の良い個体が少ない要因となったと考えられます。
一方、《ホーリーナイトドラゴン》も攻守のバランスが良く、かつドラゴン族で「青眼の白龍」と同じくフィールド魔法《山》の恩恵を受けられるため、当時から人気がありました。
また、当時はまだスリーブ文化が一般的ではなく、裸の状態でプレイされていたこともあり、カードの擦れや傷みが非常に多かったのも特徴的です。


この2枚は、アニメ『遊戯王デュエルモンスターズ』本編にも登場しています。
特に印象的なのが、《究極完全態グレートモス》の登場シーン。
「決闘者の王国編」にて、インセクター羽蛾が遊戯とのデュエルでこのカードを切り札として投入。
“完全態”へ進化することでフィニッシュを狙うも、闇遊戯によって進化を妨害され、未完成の《グレート・モス》のまま撃破されてしまったシーンは、今でも語り草となっています。
近年では、「Early Days Collection」の購入特典として、それぞれ25thシークレットレア(25thSE)仕様で再録もされています。
しかしながら、やはり1999年当時の初期シークレット加工は唯一無二。
ホログラムの入り方や光の反射、質感など、“あの頃だけの輝き”が確かに存在しています。

《ホーリーナイトドラゴン》《究極完全態グレートモス》は、ただのレアカードではありません。
それぞれのカードに思い出、戦略、ロマンが詰まっており、今でも多くのプレイヤーやコレクターにとって“身近で特別なシークレットレア”として語り継がれています。
状態が良ければ高額、状態が悪くても思い出補正が強い。そんなカードは、きっとこの2枚くらいではないでしょうか。

